リチウムバッテリーの膨張とは
🔋 リチウムバッテリーが膨張する理由(基本)
リチウムバッテリーが膨張するのは、内部でガスが発生するからです。その原因は主に以下のようなことが挙げられます:
- 過充電や過放電
- 高温(熱暴走)
- 劣化(サイクル劣化や経年劣化)
- 内部短絡(ショート)
- 物理的なダメージ(落下や衝撃)
これらがきっかけとなり、バッテリー内部で化学反応が異常に進行し、本来出るべきでない副生成物(ガスなど)が生じます。
🧪 中で何が起きているのか?(化学的視点)
リチウムイオン電池の基本構造は:
- 正極(例:リチウムコバルト酸化物など)
- 負極(例:グラファイトなど)
- 電解液(有機溶媒+リチウム塩)
- セパレーター(絶縁体)
これらが層になって巻かれています(「巻き寿司構造」ってよく言われます)。
◉ 異常時に起きる反応例:
- 電解液の分解反応
→ 有機溶媒(例:エチレンカーボネート)が熱や電圧ストレスで分解
→ エチレンガス、二酸化炭素、メタンなどのガスが発生 - SEI膜の破壊と再形成
→ SEI(固体電解質界面)膜が壊れると、新しく再形成されるときに反応が進行
→ この過程でもガス発生 - 負極材料の不安定化
→ 過放電や内部短絡で負極がリチウムメッキ化(リチウム金属が析出)
→ 電解液との反応が激しくなり、ガス発生と発熱
🔥 膨張 → 発火・爆発のリスク
膨張するだけではすぐには発火しませんが、バッテリーがパンパンに膨れてくると
- セパレーターが破れる
- 正極と負極が直接触れる
- → 内部短絡 → 発熱 → 発火 → 爆発
最悪のシナリオです。
👀 見た目の兆候(これが見えたらアウト)
- バッテリーがふくらんでケースが開きそう
- デバイスの背面カバーが浮いてきた
- 異臭(甘いような、金属が焼けたようなにおい)
→ すぐに使用を中止して、安全な場所に隔離、回収処理を!
🧯 安全対策と予防方法
- 過充電を避ける(ちゃんとした充電器を使う)
- 高温の場所で放置しない(炎天下の車内など)
- 物理的に衝撃を与えない
- 膨張が始まったら絶対に穴を開けたりしない
- 使用期限が近い古いバッテリーは早めに交換
もし膨張したリチウム電池を持っていたり、対処に不安がある場合は、自治体の「有害ごみ」や「電池回収」などの制度を使うのが一番安全です。